なぜGKコーチ不足は解決しない?!キーパーとして長くプレーすることで、減ったキーパーコーチ。
中山です。
さて、今回はいつもとは違った感じの話になります。
Jリーグの開幕を前にした12月、1月という頃に、【毎年僕が感じるある事】をテーマにお話ししたいのです。
今も昔も変わることのないキーパーコーチ不足
ある事、とは「日本ではキーパーコーチが不足している」と感じることです。
ここ2、3年は特にですが、Jリーグの各クラブが新しいチームの準備を始める時期になると、僕は複数のクラブからキーパーコーチ就任のオファーをいただくのです。
オファーは嬉しいことだが、日本の問題点は何も変わっていない
僕にはサガン鳥栖のトップチームやアカデミーでのコーチ経験がありますし、指導力を評価してくれてのことだと思えば、それは単純にうれしいことではあるのです。
しかし、そうは言ってもJクラブでの指導という点でかなりブランクのある自分になぜ複数のオファーが来るのかを客観的に考えました。
行きついた答えは【キーパーコーチ不足】
そして行きついたのが単純に「キーパーコーチ不足」という答えだったのです。
そして当然のように僕の思考は・・
「なぜ、日本でキーパーコーチが不足しているのか」
という疑問へとつながります。
この疑問に対する僕なりの考えを皆さんに提示して、今後の議論のテーマとしたいのです。
キーパーとして長くプレーしたい
キーパーコーチ不足の第一の要因は単純で・・・
「キーパーコーチになりたい」
という人が減ってきているからだと思うのです。
逆にいうと、「キーパーコーチを本気で志している人にはかなりのチャンス」であることが言えます。
別角度からの言い方に変えると、
「キーパーとして長くプレーしたいと考える人が増えた」
ということでもあるのではないか、と。
プレーする場の増加によるキーパーコーチ不足
どういうことかと言うと、例えば、大学ではIリーグなど、トップチーム以外の選手がプレーする場が設けられています。
社会人になっても県リーグなど地域リーグでのプレー環境もずいぶんと良くなり、それ自体はとても良いことだと思います。
それはつまりキーパーとしてのプレー機会が増えているということで、プレー寿命が伸びるという状況につながっていきます。
プレー寿命が伸びるということは、引退を決意した頃にはすでに30歳半ばも過ぎ、あるいは40歳が目前に迫っているという状況になります。
もちろん、そこから指導者への道に進む方もいらっしゃいますが、キーパーコーチという特殊な指導にはやはり勉強が必要ですし、その習得には時間も要します。
選手としてだけでサッカーとのかかわりを終えている現状
ですから、「サッカーとのかかわりは選手としてのみで終えよう」と考える人が増えているように思うのです。
かつては、高校時代にプレーヤーとしての自らの将来性に対して、自分で、あるいは周囲のアドバイスによって見切りをつけて、大学生の時からキーパーコーチを目指して勉強する【指導者の卵】がかなりの数がいて、それがキーパーコーチの裾野を広げ、競争によるレベルアップにつながっていたと思うのです。
世界との差があるGKコーチの地位の低さも原因の一つ
ほかにキーパーコーチを目指す人が減ってきた理由を探すとすれば、キーパーコーチとしての地位、それに伴う収入の低さも挙げられると思います。
例えば、ヨーロッパでは、プロかアマは問わず、監督、ヘッドコーチ、キーパーコーチの扱いが横並びなのが普通です。
日本では、1監督、2ヘッドコーチ、3キーパーコーチという序列が一般的。
それが当然収入にもそのまま結びついて、キーパーコーチの収入が最も低くなることが多いのが現実です。
プロのトップクラブがそういう状況だから、その下のカテゴリーも当然同じような状況です。
仮にプロクラブのキーパーコーチになれば十分な収入が得られるという現実があるなら、それを目標にそこに至るまでの【食えない時期】も頑張れるというものですが、残念ながら今はそういう状況にはありません。
食えない職業と見られているキーパーコーチの成り手が減ってくるのもある意味、当然なのかもしれません。
後進を育てようとする【責任を持った大人】が減っている
さらに理由を挙げるなら、これはサッカー界だけの問題ではなく社会的な問題でもあると思います。
後進を育てるという責任感を持つ人が減ってきていることです。
自分の人生を豊かにするために執着や努力を惜しまない人は十分にいる。
それ自体を否定するわけではないし、それが強いが故かどうかは定かではありません。
ですが、他人の成長や幸福に寄与するという、社会を構成する一員としての自覚や責任が希薄になっているとも思うのです。
そういう意味では、GKコーチやサッカー関係で仕事をする自分に対する責任感は強く、今行なっている活動は本当に大事と感じています。
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〜後編に続く〜