5戦負けなし!森保ジャパンは順調なのか?!

中山です。

今回は順調とも言える【森保ジャパン】についてお話をお聞きしました!

森保さんとはお会いさせていただいたこともあるのですが、すごく誠実な方でとにかく良い人がにじみ出てる温かさのある方です。

 

また、自分がサガン鳥栖にいることには弟に当たる森保洋さん(現・Vファーレン長崎ユースダイレクター兼U-18監督)とも一緒にお仕事をさせていただいており、すごく短に感じる部分があります!

注目の日本代表はサッカーライターの吉村さんの目にどのように見えているのでしょうか?

 

森保ジャパン

森保ジャパンの船出は極めて順調なものになりました。

2018年に予定されていた5試合すべてを戦い終えて4勝1分け。

依然無敗を維持しています。

しかも対戦相手にはウルグアイが含まれています。

結果という意味で及第点以上です。

しかも世代交代というどの代表監督にもついて回る問題も、軽々とクリアしてしまったようにも見えます。

そこで来年おこなわれるアジアカップを見越して、新たに発足した森保体制の日本代表について考えてみたいと思います。

 

 

チームは予想外の事態からのスタート

9月、北海道を襲った大地震で予定されていたチリ戦はキャンセル。

極めて過酷な状況でしたが、発足第1戦でコスタリカと対戦。

これに3-0と快勝。

 

広島の監督時代の3バックは封印され、日本代表が一番慣れている1-4-2-3-1のシステムを基本として、このチームが戦うことが示されました。

同時にこれまで長らく日本代表支えてきた本田、香川、岡崎、川島という選手たちがメンバーから外れ、森保監督が新たに抜擢した選手が期待に応える活躍を見せています。

 

特に攻撃陣の3枚(南野、堂安、中島)は世代交代を決定づけるプレーを次々と披露しています。

特にウルグアイ戦(4-3)では撃ち合いを制する原動力になったことは記憶に新しいところです。

また最終ラインにはCBに19歳の冨安を起用。

現在ベルギーのシントトロイデンでプレーする冨安ですが、その高い能力を示すことに成功しました。

しかも吉田というベテランと同時起用することで冨安の心理的負担を軽減するなど、森保監督のマネジメントの巧みさが見えました。

 

更にベネズエラ戦(1-1)で代表デビューとなったGKのシュミット・ダニエルを加えた吉田、冨安との3人のユニットは、これまで日本の最大の弱点といわれた高さを劇的に改善し、むしろ武器にしてしまった感すらあります。

ここまではとにかく順調そのものといっていいと思います。

 

アウェイでの試合がない

ただ不安を感じるところも探せばあります。

まずその最初は、新生日本代表はここまでホームでしかプレーしていません。アウェイが1試合もないのです。

これにはやむを得ない事情もあります。

それはヨーロッパの国とのマッチメイクが極めて難しいのです。

 

なぜならヨーロッパは今年から新たにネーションズリーグという公式大会を発足させ、国際マッチディにヨーロッパ同士で戦うことになったからです。

日本としては海外に出ていって、より強豪と試合をしたいけれど、残念ながら相手は都合が悪い。

そうなるとどこと対戦するのかになるのですが、一番いいのは南米です。

 

逆に南米も対戦相手を求めているので、両者の思惑が一致し、日本の相手は南米が中心になりました。

ただ南米は放映権収入が欲しいので、自国で試合をするより、日本で試合をしたがる。

 

日本も特にJリーグの選手は時差が12時間もある南米に、24時間以上かけて移動することはできない。

南米の選手はほとんどがヨーロッパでプレーしているので、移動はそれほど大変ではありません。

こういった事情が絡み合い、すべての試合が日本でおこなわれることになったのでしょう。

背景は別にして、アウェイで厳しい試合をしていないのは、日本にとってプラスにはなりません。

これがひとつの不安です。

 

攻撃のハーモニー

更にアジアカップを想定したキルギス戦ですが、正直練習試合程度の相手でしかありませんでした。

日本としてはガチガチにゴール前を固めた相手をどうこじ開けるかを試したかったのですが、早々に日本が山中のゴールで点を奪ったこととキルギスがチームのコンセプトとして前でプレッシングを掛けるという戦い方をしてきたことで、日本が期待した戦い方にはなりませんでした。

キルギスは来日直後に鹿島と練習試合(0-2)をしましたが、国際レベルと呼べるチームではありません。

 

日本も4点は取りましたが、もっと取れたはずです。

冒頭にきわめて順調とは書きましたが、実際はキルギス戦では不満が残る部分もありました。特にその前のベネズエラ戦から11人全員を入れ替えたことで、攻撃のハーモニーは失われました。

これはベネズエラ戦の後半に攻撃の選手を入れ替えたことで、かなり停滞したことともイコールです。

現状ではレギュラーの選手と、そうでない選手との間でコンビネーションに大きな差があるということです。

 

まだ5試合しか戦っていないのですから、それは無理からぬことなのですが、それでもアジアカップのような大会は総力戦になることを考えると不安は拭えません。

当然そういう状況を克服できるのが、本当に強いチームということもできますが…。

 

森保監督の要望

森保監督に要望することがあるとすれば、いつどのタイミングで3バックを取り入れるのかということ。

彼の本来の基本戦術は3バックです。

 

それも攻撃時に3人がそのまま残るのではなく、ボランチが最終ラインに落ちてビルドアップ。3枚の真ん中が残、両サイドのCBはワイドに開いてSBのような役割をします。攻撃時は2バックになります。

そしてWBは前線に上がり、ほぼサイドのMFとしてプレーするというやり方をします。

このオプションを日本が手に入れれば、試合中にメンバーを入れ替えずに戦い方を変えることができます。

広島で実績は充分以上に残してきた戦術ですから、大きな武器になります。

 

むしろ基本戦術として取り入れ、4バックをオプションにすることも考えられます。

アジアカップを目前にして、今はその時ではありませんが、いずれ採用することになるでしょう。

その時、上手くいかないかもしれません。

 

どこかのスポーツ新聞のように 「3バック失敗」 と書き立てるのではなく、4年後のW杯には絶対に必要で、その習得には時間が必要だということを我々も理解しておく必要があります。

チームは生き物であり、いい時もあれば、悪い時もある。日本代表に負けていい試合はありませんが、それでも忍耐力をもって成長を見守るしかありません。

順調な船出となったために、期待ばかりが先行するでしょうが、停滞期も絶対にくると肝に銘じておくことも必要です。