FIFAU-20ワールドカップinポーランド2019のゴールキーパーに注目!Part5
20歳以下の選手たちで争われるU-20ワールドカップ。
2年に1度行われる世界一決定戦は若手の登竜門としても知られ、過去にはドイツ代表のマヌエル・ノイアーなども出場している。
今回は5月から6月に掛けてポーランドで開催。
ウクライナの初優勝で幕を閉じた中で日本はラウンドオブ16で韓国に敗れ、惜しくも8強入りを逃した。
U-20ワールドカップで活躍したGKを紹介する本企画の最終回では日本の躍進を支えたGKと、今大会で台風の目となったニュージーランドの有望株を紹介する。
本来呼ぶべき選手の招集が叶わない事態
今回の日本代表はGKに多くの逸材を要していた。
コパ・アメリカ(南米選手権)に参戦したA代表に飛び級で名を連ねた大迫敬介(サンフレッチェ広島)、東京五輪を目指すU-22代表に参戦した経験を持つ谷晃生(G大阪)。
タレントが揃う近年稀な世代で、誰がレギュラーの座を掴んでもおかしくなかった。
ただ、大迫がA代表に呼ばれ、谷も直前で負傷。
土壇場で本来呼ぶべき選手の招集が叶わない事態に陥ったのだ。
大会を前に不安を抱えた日本。
その窮地を救ったのが、若原智哉(京都サンガ)だった。
極限の集中力で試合勘をカバー!
もともと彼らに匹敵する実力を有していた若原。
だが、今季はほとんど所属クラブで試合に出られず、試合勘不足は否めなかった。
その中で迎えた今大会初戦のエクアドル戦で驚くべき、パフォーマンスを見せたのだ。
45分にCKでパンチングを味方に当ててオウンゴールに絡んでしまったが、0-1で迎えた後半開始直後にPKをストップ。
ここで失点をしてしまえば、勝負が決していた可能性があっただけに流れを変えるビックセーブとなった。
チームもその後に追い付き、勝ち点1を獲得。
2戦目以降は大きなミスもなく、むしろ類まれな集中力で相手の決定機を幾度も阻止した。
ネガティブは取り除く
もともと、将来性を買われ、若原は大迫と並んで世代を牽引してきた。
プロ入り後も先に出番をつかんだのは前者。
だが、今季は状況が一変し、立場がまるで逆になったしまった。
それでも国際舞台で結果を残せたのはメンタル面が大きい。
「とにかくポジティブに考えるというか。すぐネガティブに考えるんで。ミスしたらどうしようとかめちゃ考えちゃって(笑)。そういうのをできるだけ取り除いてというのは意識しています」
本人が話した通り、突然の出番にも動じない精神力。
それがあったからこそ、今大会の活躍につなげられた。
現在は京都で第3GKに甘んじるが、U-20ワールドカップで培った経験を生かし、さらなるステップアップを果たせるか注目したい。
ここ一番の集中力と洞察力は各方面が賞賛
オセアニアに位置するニュージランド。
ラウンドオブ16で惜しくも敗退したが、GKマイケル・ウッドが強烈なインパクトを残した。
8強入りを懸けたコロンビア戦。
ウッドは試合中から格上の相手に対し、臆さずに挑むとファインセーブを連発すると、最大のハイライトは1-1で迎えたPK戦だ。
ゴールに入る前にメモに目を通して相手の情報を頭に入れると、いきなり2本連続でPKをストップ。
最終的には4-5で涙を飲んだものの、ここ一番の集中力と洞察力は各方面が賞賛された。
早くからヨーロッパでのキャリアをスタート
ウッドは1999年生まれの20歳。
自国でプレーする選手が多いニュージランドで早くからヨーロッパでキャリアをスタートさせ、2016年から18年までイングランドのサンダーランドでプレー。
昨季はオランダ1部のウィレムIIに席を置き、4試合に出場を果たした。
196センチの体躯を持つ守護神はルーツがあるオランダの世代別代表にも招集される可能性もあっただけに、ポテンシャルは一級品。
飛び級で参戦した前回大会も含め、2度のU-20ワールドカップで培った自信を手に今後のどのようなキャリアを描いていくのか。
その動向に熱視線が注がれる。